冷静と情熱のあいだに、カレー

この物語は、我が家に起こった
『カレー事変』について
男性サイドの視点から語ったものです。

女性サイドのストーリーは
妻が投稿しておりますので、
そちらも併せてお読みいただくと、
楽しみが倍増すると思われます。

☆妻の投稿はコチラ↓

昨日から夫婦そろって風邪でダウンしている。 そんな中、ゆうべは旦那がカレーを作ってくれることになった。 「僕は大丈夫だから!」 と...

*  *  *

その日、男と女は共に、
異様なダルさとともに目覚めた。

前夜に熱い情事があったわけではない。

1才8ヶ月になる娘の夜泣きが
ひどかったわけでもない。

単に…… カ ゼ である。

だが、“夫婦そろって”
カゼを引いてしまったこと……

これが、悲劇の始まりであった。

「だいじょうぶ?」

男は、隣の布団で眠る女に声をかけた。

だが、呻くような声が返ってくるだけ。

どうやら、彼女の方が症状が重いようだ。

「なら、今日は僕が がんばる番だ!」

正直なところ、
彼の方がカゼにかかる頻度が高い。

体調を崩すたび妻に頼ってしまうことに、
男は恩義と申し訳なさを感じていたのだ。

男は重たい体を奮い立たせ、起床した。

洗濯、掃除、娘の食事……
いつも妻にやってもらっていることをこなし、

「よし!
晩御飯は、妻が喜ぶ
とっておきのものを作ろう!!」

と決意した。

「なんとか早く
元気になってもらいたい……」

「よし!! カレーをつくろう!!!!」

元気になってもらうために、なぜカレーなのか?

カゼの時に、なぜそんな重たい料理なのか?

おそらく、男も、カゼの影響で
思考回路が狂っていたのであろう。

いつも妻が「おいしい」と
言ってくれるのがカレーだったから、

その時に思い浮かんだのが
カレーというメニューのみだったから、

という短絡的な理由で、

『とっておきのカレーを作ること』

を、固く心に誓ってしまったのである。

まるでそれが、自分の
“ 天 命 ”でもあるかのように……。

そして、それが、
最大の悲劇を呼ぶことも知らずに……。

『とっておきのカレーを作ること』

そう決意した彼は、1才8ヶ月の娘が
妻のかたわら昼寝するのを見届けた後、
買い物に出かけた。

ニンジン、タマネギなどなど、
カレーに必要な材料を買い込んでいく。

「く……! こんな時に、
我が家で育てた野菜があったなら!!」

そんな後悔が頭をよぎった。

男は以前から、無農薬の
野菜づくりにチャレンジしている。

だが、ここ数年、
栽培が手薄になっていたのである。

「しまった……
僕はなんという過ちを……」

普段なら気にもならないはずのことが、
カゼで弱った男の心には
大きな失敗のように感じられた。

そして、それは同時に、

『とっておきのカレーをつくること』

という“天命”に
傷がつくことでもあったのである。

だが、男にはわずかばかりの救いがあった。

「あ!
『こどものためのカレールウ』がある!」

『こどものためのカレールウ』とは、
知る人ぞ知る、化学調味料や添加物がない
安心素材で美味しいカレールウである。
(そして、その名の通り、子どもも喜ぶ!!)

150g(6皿分)で、350円(税抜き)……

ぶっちゃけ言うと、とても高価だ。

他のカレールウの倍以上はする。

だが……

『とっておきのカレーをつくる』

という天命にかられた男は、
その高級素材を買うことを決めたのだ。

しかも、2 箱 。

「よし!
これで、材料はカンペキだ!!」

自家野菜を使えないことは、
このカレールウで挽回できると踏んだ男は
勇み足で帰宅し、さっそく調理に取り掛かった。

「野菜のエキスを凝縮して
少ない量で栄養を取ってもらおう!」

高級ルウは確かに2箱買った。

だが、それを全て
使うつもりだったわけではない。

「水をできるだけ使わず、
野菜の水分だけで煮込み、
そこに抜群の味になるように
高級カレールウを徐々に入れていく」

それが、男の立てた計画であった。

そうやって野菜を細かく刻み、

硬い素材のものからじっくり炒め、

水分が出てきたところで
圧力ナベにかけた。

「野菜がトロトロに溶けるまで
煮込むべし!!!!」

もはや、誰に何を誓っているのか
よくわからないことを心で叫び、
圧力ナベの設定を終える。

圧力をかける時間はいつもの2倍。

男は、それほどまでに
“トロトロの野菜”にこだわり、

“野菜エキスの凝縮”に
こだわりたかったのである。

「よし! 圧力完了!!」

圧力ナベのタイマーが鳴り、
男は火を止めた。

あとは、ナベの圧力が下がるのを待ち、
そこからルウを溶かして
最後の煮込みにかかるのみだ。

傍らでは炊飯器から蒸気が上がり、
ご飯も順調に炊けて来ている。
(ご飯は、自家栽培のお米♪)

「もうすぐだ! もうすぐ、
とっておきのカレーが出来る!」

男は、勝利を確信した。

何に対する勝利なのかは、
全く良くわからないが、男というのは
“勝利”にこだわる生き物なのである。

「きっと、妻も喜んでくれる!」

「食べて、元気になってもらえる!!」

あえて言えば、
これらが彼の“勝利”だったと言えよう。

が、

ここで思わぬ誤算が生じてしまう。

「ね、ねむい……」

男に、強烈な睡魔が襲いかかったのだ。

体調の悪い中、無理をして買い物に行き、

『とっておきのカレーをつくる!』

と張り切り、買い物と調理の間も
あれこれと心理的な葛藤を経てきたため、

予想以上にエネルギーを消耗していたのだ。

「仕方ない……少し眠ろう」

圧力ナベの圧力が下がるまでの
少しの間だけ、男は仮眠を取ることにした。

そう。

少しの間だけ……。

「少しのあいだ、だけ?」

ハッと、彼が目を開けたとき、
窓の外はとっぷりと日が暮れていた。

おかしい。
さっきまでは明るかったのに……

「あ。カレーが!!」

急いで起きて、キッチンへ駆けた。

だが、男は
衝撃の光景を目にするのである。

キッチンには、妻が、いた。

しかも、妻の前には、圧力ナベ。

オタマを手に、ナベの中をかき回している。

「ま、まさか……!!!!」

ふと、部屋の時計を見上げると、
もうすでに1時間以上が経過していた。

その間に、見かねた妻が起き出し、
カレーの調理をしていたのである。

「しまった!
料理させてしまうなんて!!」

妻に料理させてしまった後悔を
心の中で大きく叫び、妻に近づいた。

「?!?!」

妻の手元をのぞき込んだ男は、
驚愕のあまり言葉を失った。

「ま、まさか……。水、足した……?」

刹那の沈黙のあと、
男は、おそるおそる女に問うた。

「うん。足したよー」

そう答えた妻の前には、

2つともカラッポになった
高級カレールウの箱と、

妻の手によって水が足され
倍の量になったカレーの姿があった。

「そ、そんな…………」

先ほどの驚愕に代わって、
絶望が、彼を襲った。

「休んでもらうはずの妻に、
料理をさせてしまうなんて……」

「“とっておきのカレー”ができるはずが、
あと一歩のところで、
普通カレーに変貌してしまうなんて……」

「高級カレールウを
一気に2個も使ってしまうなんて……」

先ほどまで確信していた“勝利”は
ガラガラと音を立てて崩れ、
“敗北”の文字が男の脳裏に浮かんだ。

「ま、負けた……」

何に対して“敗北”したのかは、
まったく良くわからないのだが、
男は確かに“敗北”を感じたのである、

男のかたわらでは、炊飯器が、
「保温」マークを赤々と照らしている。

「僕が、あと一歩のところで
寝落ちてしまったから……」

ご飯をとっくの昔に炊き上げた
炊飯器の「保温」マークは、
その事実を無残にも物語っていたのである。

「で? どうするの?」

呆然とする男の耳に、
女の声が飛び込んできた。

「ごはん、どうするの??」

ハッとして、男が妻を見やると、
そこには怒りとも悲しみとも
憐れみとも取れる、
異様に静かな表情の彼女がいた。

そうだ。
もうすぐ、娘のご飯の時間だ。

僕たちはともかく、
娘にはご飯を食べてもらわないと……。

「ご、ごめん」

男の心の奥で そんな声が湧き上がったが、
言葉になるまでには至らなかった。

・“とっておきのカレー”を
成し遂げられなかった不甲斐なさ

・確信していた“勝利”が
崩れ去ってしまった落胆

この二つの感情が、
素直な気持ちを覆い隠したのだ。

いわば、“男の小〜〜せえプライド”が、
「ごめん」の言葉を阻んだのである。

だが、妻の静かな視線は、
それを見透かすように迫ってくる。

窮地に追いやられた男。

そこから、
彼の取った渾身の行動は、

ふ  て  寝

であった。

「もう、ええわ」

ボソリと妻に告げ、寝室へ向かった。

男は、布団に逃げ込んだ。

本当は、彼が、この日の家事も料理も
全てこなすはずであったものを、

最後の最後で妻に押し付けたのである。

そこに“天命”などは無く、
いわば“大罪”の道へとまっしぐら……

そこから夫婦の間の溝は、大きく深く
広がっていくことになるのである。

(続く……かもしれない)

☆すんません……
完全に遊びで書きました( ̄▽ ̄;;

何が言いたいかと言うと、要は
「男のこだわりとか張り切りとか
小さいプライドなんていらんよね?」
という話でございますm(_ _)m

☆女性サイドの視点から書かれた
妻の投稿はコチラ↓

昨日から夫婦そろって風邪でダウンしている。 そんな中、ゆうべは旦那がカレーを作ってくれることになった。 「僕は大丈夫だから!」 と...

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